立っているのもままならないほどの辛いめまい
立っているのもままならないほどの辛いめまい
【タイトル】
立っているのもままならないほどの辛いめまい
【サブタイトル】
めまいもなく過ごせるようになり、ヨガ教室に復帰できました
【年代・性別】
70代・女性
【主訴】
めまい
【副訴】
腰痛、右足膝下しびれ、不眠(寝付きが悪い、早朝覚醒)
[千葉県我孫子市から来院]
【来院に至った経緯】
40代の頃からめまいに悩まされるようになった。 常に頭がグルグル回っているような感覚になり、次第に自転車に乗ることもできなくなってきた。安静にしていれば収まるだろうと数週間様子を見たが、めまいは一向に収まらなかった。そのため、内科を受診したところ「メニエール病」と診断された。処方された薬を服用し続けたが、症状に期待するような変化はなかった。
脳神経外科も受診しCT検査などを行ったが、「特に異常はない」との診断結果だった。耳鼻咽喉科も受診したところ、今度は「頭位性めまい」と診断された。ここでもやはり処方された薬を服用し続けたがめまいが収まることはなかった。
50代になると寝付きの悪さにも悩むようになった。 布団に入り消灯しても、そこからズルズルと1時間以上眠れない日々が続くようになってしまった。 毎日の睡眠時間が6時間を割ってしまうことも度々で、慢性的な睡眠不足に悩まされていた。
寝付きの悪さはその後も続いていたが、依存性を気にしていたので眠剤に頼ることはしたくなかった。やがて朝方の睡眠も浅くなってきて、睡眠時間はますます短くなっていった。睡眠不足によって日中に眠たくなることもしばしばあり、疲れが溜まって週末に寝貯めするようになっていた。
60代に入ると腰痛にも悩まされるようになった。 姿勢によって右腰が痛くなることが度々あり、あまりに辛かったので整骨院に通ってみた。 週2回のペースで5年間通い続けたが、電気治療とマッサージばかりで期待に見合う変化は得られなかった。
70代になると右足にしびれが出るようになり、座っているのも辛くなってきた。腰痛や足のしびれは日々悪化し、楽しみにしていたヨガ教室にも通えなくなってしまった。
あまりに辛いので、息子さんの運転する車で近隣の大きい病院に行った。そこではブロック注射を打ってもらったが、痛みは緩和することはなかった。 別のペインクリニックにも行き治療を受けたが、腰痛と足のしびれの辛さが和らぐことはなかった。
並行して市内のカイロプラクティックにも週1回のペースで3年ほど通った。しかし、マッサージがメインの施術であり、症状が大きく変化することはなかった。 一向に改善しない腰痛と足のしびれ、それに加えてめまいと不眠も伴い、今後の生活に大きな不安を抱く日々が続いていた。
そんな時、息子さんから「ここが良さそうだよ」とネットで検索した当院を紹介された。せっかく紹介してくれたからということもあったが、「もしかしたら何とかなるかも」という期待と不安が入り混じった複雑な心境で当院に来院された。
【初診の状態】
01腰部起立筋の過緊張
02第一頸椎右横突起の可動制限
03左右の胸鎖乳突筋の過緊張
【経過と内容】
初回では、 右の仙腸関節と第一頸椎に明らかな可動域制限があった。 また右仙腸関節と第一頸椎右横突起に強い浮腫が確認され、胸鎖乳突筋と腰部脊柱起立筋は過緊張の状態であった。
腰部の椎間板はD5レベルとかなり慢性的な段階が確認された。 そのため、初期集中期の段階では週3回のケアを提案したが、家庭の事情もあり週に1回のケアから開始した。
3週目(3 回目のアジャストメント)では、 朝方の眠りはまだ浅いが寝付きが良くなってきた。 腰も少し楽になってきて、左足のしびれが弱くなってきた。めまいも以前より軽くなってきた。
7週目(7 回目のアジャストメント)では、朝方の眠りも以前よりは深くなってきた。腰の痛みはなく、右腰が少し気になる程度になってきた。左足のしびれはほとんど出なくなっていた。 めまいは立位では出なくなってきたが、寝ている姿勢から起きる時に多少クラクラする。
16週目( 16回目のアジャストメント)では、 寝ている姿勢から立つ時に起こるめまいも起こらなくなってきた。
現在は、めまいや不眠、腰痛・足のしびれなどの諸症状は改善したが、引き続きメンテナンスとして間隔をあけてカイロプラクティックケアを継続中である。
【考察】
今回の諸症状は、骨盤部と上部頸椎に可動制限があったことが主な原因であったと考えられる。
めまいに関しては、平衡感覚を支配している第8脳神経である内耳神経が関与しており、神経伝達に異常が生じることでめまいの原因となる場合がある。内耳にある三半規管の中の内リンパ液が移動することで、頭部の傾きや体の移動は神経を通り脳へ伝えられる。そこに視覚や感覚などの情報を統合して平衡感覚をコントロールしている。
上部頸椎などの副交感神経領域に異常が発生すると、三半規管のリンパ液の吸収がスムーズに行われず、リンパ液が溜まる部分がむくんでいる状態となる。その結果、体が動いていないのにリンパ液が動いてしまい、「体が動いている」と勘違いしてしまうことで、めまいのような症状が発生する。
睡眠に関しては、自律神経のバランスの乱れにより副交感神経の働きが低下し、交感神経の働きが過剰な状態になった。その結果、夜になっても体が興奮状態のままとなり、寝付きの悪さや早朝覚醒などの不眠症状が現れていたのだろう。
腰痛と足のしびれに関しては、骨盤部の仙腸関節の不安定さから腰部椎間板へ長年に渡り負担がかかっていたことが悪化に繋がった一因と考えられる。片側の仙腸関節に可動制限が起こると、その補正として反対側の仙腸関節は過剰に動いてしまう。その影響で腰部椎間板へ常に回旋の負担がかかり続け、椎間板の水分が放出され椎間板スペースが減少していき、腰痛と足のしびれの悪化へと繋がったのであろう。
上部頸椎や骨盤などの副交感神経支配範囲に絞ってアジャストメントを継続したことで、サブラクセーション(神経圧迫)が取り除かれ神経の流れが正常化した。その結果、自然治癒力が最大限に発揮され、複数の症状の改善に繋がったと考えられる。
人間には生まれながらにして自然治癒力が備わっており、神経の流れを整えて体から脳へ正しい情報を届けることができれば、あらゆる問題に対処できる力を兼ね備えている。
たとえ高齢であれ、生きている限り人間の自然治癒力は働き続ける。そして、それを最大限に発揮させるためにはきちんと検査をしてサブラクセーションを特定し、正確にアジャストメントする。それを一貫性を持って継続することが重要であると改めて実感できた症例であった。
執筆者
鈴木貞之
静岡県三島市出身。1972年に塩川満章D.C.が開校した銀座のシオカワスクールオブカイロプラクティックに入る。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、ガンステッドテクニック・CS/CLセミナー修了、トムソンテクニックセミナー修了。現在では日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールで後進の育成にも力を入れている。2015年4月に千葉県我孫子市の地で、カイロプラクティックの最前線である塩川カイロプラクティックで学んだ本物のカイロプラクティックを提供する院を実現するため、仁カイロプラクティックを開院。
シオカワグループの一員として、感謝・感動・希望に溢れる社会を作っていく事に尽力。
